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逆浸透膜浄水器

「逆浸透膜の歴史」

逆浸透膜方式は、1950年代にアメリカのカリフォルニア大学のシドニーロブ博士とソーリラジャン博士により開発されました。その後コダック、デュポンといった企業がアメリカ政府の援助(40億ドル)を受け、研究開発を行い60年代には海水を真水に変えることに成功し、実用化されました。

現在では、アメリカの家庭の浄水器の7割はこの逆浸透膜であり、またその他電子工業、医薬産業等あらゆる分野で広く利用されています。

「逆浸透現象とは」

一方に食塩水を、もう一方に真水を入れ、生物の細胞膜に近い半透膜で両者を仕切ると真水から海水へ水の移動が起こります。これを浸透と言います。身近な例を上げれば、漬物の塩が野菜の水分を引き出すことに相当します(野菜の水分が細胞膜を通して、塩に向かって出て行く現象)。

逆浸透とは、海水中の水が膜を通って真水側に移る現象です。この逆浸透を起こすためには、海水側に浸透圧以上の圧力をかける必要があり、それにより海水から真水が得られます。


一般的な浄水システムを下の図に示します。
 

「逆浸透膜浄水器の構造」

1.先ず、水道水はプレフィルターに入り、水中の赤錆や浮遊物が除去されます。
2.次の活性炭フィルターで塩素や有機物が除去され、前処理された水はシャットオフバルブを経由して、逆浸透膜(TFC膜)へ入ります。
3.逆浸透膜から出てきた浄水は、シャットオフバルブを経由して、いったんタンクに貯蔵されます。浄水蛇口を開くと、タンク内の水はポストフィルター(活性炭)を経由して蛇口から出てくることになります。
4.ポストフィルターは、逆浸透膜を透過する極微量の塩素や有機物あるいはタンクからのにおいを除去し、水の味を整えます。

シャットオフバルブは、タンク内の圧を感知し、満タンになれば逆浸透膜に至る給水路を自動的に閉じ、浄水を停止します。また、タンク内の水が減りますと、シャットオフバルブは作動し、給水路を開き、浄水は再開されます。これらの動作には電力は要りません。流量調整器は排水量を調整し、逆浸透膜内の圧力を上げます。チェックバルブは逆浸透膜への逆流を防ぎます。


「逆浸透膜の材質及びその構造」

逆浸透膜は大きく分けて2種類あります。
●TFC (Thin-Film Composite Membrane)
膜はPolyamide-based Polymerです。塩素には弱いですが汚れに強く、TDS値で2000ppmまで使用できます。逆浸透膜浄水器の多くはTFC膜を使用しています。

●CTA(Cellulose Triacetate Membrane)
セルロースを無水酢酸で処理して得られた酢酸セルロースをアセトンに溶解して生成するフィルム様プラスチック。塩素には強いですが、汚れに弱く、
TDS値で数百ppm以下の原水に用いられます。

*TDS (Total Dissolved Solids)値:水の「きれいさを」表す簡易な値で、単位はppm(1/100万)で表します。水道水の平均的なTDSは70ppm前後ですが、水が特に汚い場合は150ppm付近の値を示すことがあります。

逆浸透膜は、超薄膜のフィルムで、2層構造になっており、表面の薄い部分はスキン層とよばれ、0.1〜0.2ミクロン程度の厚みをもっています。この下にある厚さ50〜250ミクロンの層は、スポンジ層と呼ばれスキン層を支え、強度を保つ働きをしています。


「水中の不純物除去率」

(この部分は一部重複しています)

逆浸透膜の表面に開いている孔の大きさを、バクテリアやウイルスの大きさと比較してみました。逆浸透膜の孔が如何に小さいかが分かります。


溶解金属物質 除去率(%) 溶解金属物質 除去率(%)
マンガン 95-98 96-98
アルミニウム 98-99 塩化物 87-93
ストロンチウム 98-99 重炭酸塩 90-95
98-99 硝酸塩 60-75
亜鉛 98-99 弗化物 87-93
水銀 96-98 珪酸塩 85-98
カドミウム 96-98 リン酸塩 98-99
アンモニア 86-92 クロム酸塩 86-92
バリウム 96-98 シアン化物 86-92
ニッケル 98-99 亜硫酸塩 96-98
カルシウム 94-97 チオ硫酸塩 96-99
カリウム 87-94 鉄シアン化物 98-99
ナトリウム 98-93 臭化物 87-93
93-98 ホウ酸塩 87-93
95-98 硫酸塩 98-99
マグネシウム 96-98 砒素 94-96
クロム 96-99 セレニウム 94-96
逆浸透膜は、水中に存在する有機化合物を98%以上の除去率で除去します」
 

代表的なものではベンゼン、クロロホルム(THM)、DBCP、トリクロロエタン、トリクロロエチレン(TCE)、EDB、ジクロロプロパン、ジクロロエチレン等が上げられますが、その他にも下に示す有害物質が除去されます。


「逆浸透の原理」
真水と塩水を半透膜で仕切ります。溶媒である水分子を青丸、溶質である塩化ナトリウムを赤丸とします。これら分子は、水中で熱運動により、容器や半透膜の表面と衝突しながら激しく動き回っています。

今、真水側と、塩水側の両側で水位が等しいとき、膜の単位面積当たりに衝突する分子数をそれぞれ4個と仮定します。即ち、真水側では4個の水分子が膜を通過して塩水側に移動しますが、塩水側では4個の分子のうち、溶質である2ヶの塩化ナトリウムは大きいため膜を通過することができず、残り2ヶの水分子が膜を通過して真水側へ移動します。

差し引き2ヶの水分子が真水側から塩水側へ移動し、塩水側の水位が上昇します。この水位差は水圧となって塩水側に働き、膜に衝突する分子数の増大を招きます。今、膜を透過する分子は塩水側4個、真水側4個となれば正味の移動はなくなり、平衡状態に達したことになります。この時の水位差が浸透圧です。

逆浸透は、塩水側に浸透圧以上の圧力を加えることにより、膜を透過する水分子の数が真水側より多くなり、塩水側から真水側へ水の移動が起こるうになります。実際の逆浸透膜は、理想的な半透膜ではなく、溶質分子(この場合は塩化ナトリウム)も非常にわずかですが透過します。

水分子が選択的に膜を透過する機構は、モデルで示した分子サイズに基づく「ふるい効果」だけでなく、水分子の膜に対する選択的吸着効果もあります。即ち、膜表面に水分子がいち早く吸着し、その結果水分子の濃度が高まり、優先的に水分子が膜を透過することになります。

サイズが水分子に近い小さな物質であっても膜に近付けず、取り残されて水流で運び去られ、排水されます。サイズの大きい有機物質やバクテリアなどは、物理的に膜の孔を通過できず、「ふるい効果」により取り除かれます。このようにして、逆浸透膜は分子サイズの小さい物質から大きな物質までをほぼ完全に除去します。


「製水能力に影響を与える要因」
製水能力に影響を及ぼす大きな要因としては水温と水圧が考えられます。

水温:水温が上がると、分子活動が活発になり、製水能力は増大します。通常は、1℃上昇すると2.7%増えます。例えば、夏場の水温を25℃、冬場の水温を8℃と仮定すれば、冬場は46%製水量が低下します。

水圧:製水量は水圧に比例します。水圧が2kg/cm2以下になりますと急激に製水能力は低下します。ですから、水圧が低いマンションでは加圧ポンプが必要となります。


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